
黒目(角膜)のいちばん奥に角膜内皮細胞というのが蜂の巣状に綺麗に配列されていて、角膜を透明に保つのに役立っています。この細胞は心臓の筋肉の細胞(心筋細胞)と同じでいちど死ぬと二度と生えてこず、一定の細胞数を下回ると角膜が濁ってしまい、将来白内障の手術が困難になったり最悪ですと角膜が真っ白に濁って失明してしまいます。
なので角膜内皮細胞までしっかりと酸素を通すことが大切です。だから(酸素の通りを阻害する)コンタクトレンズは長く付けすぎないように、もし付けるなら少しでも酸素透過性のよいものを選びましょう。
それってホント?
角膜内皮細胞が少ない人は『もともとが少なかったひと』であって、他に病気があればともかくとしてコンタクトレンズの装用ぐらいでそんなに変わるのかな?
って個人的にずっと思っていました。
ところが最近刊行された日本コンタクトレンズ学会誌に、九州の宮田眼科さんという全国メジャーなご施設の先生が発表した論文が、まさにそれを裏付けるものでした。
角膜内皮細胞が少ない人はおよそ1%程度いらっしゃいますが、細胞の密度が減少する要素は『今現在細胞が少ない人』はもちろん今後も細胞の数が減りやすいのですが、その他の要素は『細胞の大きさのバラツキが大きい人』であって『コンタクトレンズの装用年数やコンタクトレンズの種類は統計学的に有意差がない』という驚くべき内容でした!
細胞の大きさが安定している時は(細胞の数に関係なく)細胞の粒が揃っているので、細胞の大きさにバラつきは見られません。ただ細胞が減っている時は変化を受けた部分とそうでない部分で細胞の大きさに差が出るので、結果として細胞の大きさにバラつきが生じます。このバラつきの目安を示すのがCVというパラメーターです。
ということで角膜内皮細胞の評価には、今の細胞数(CD)と前述のCVが大事であり、コンタクトレンズのことは正直あまり関係がありません。
当診でも以前からCD2000未満のいわゆる『細胞の数が少ないひと』には、定期的に角膜内皮細胞の写真を撮って必要に応じて装用時間を制限したり酸素透過性の高いレンズを勧める対応をしてきましたが…正直、誰も減ってなかったよなぁ。
もちろん酸素透過性の高いコンタクトレンズの方がトラブルは少ないので、それはそれで今後もお勧めさせていただきます。ただ角膜内皮細胞の件とはあまり関係がないらしい。
今まで何だったんだろう?

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